‐白雪姫と悪魔なアイツ‐



 暫く姫ちゃんは交代に俺たちを見ると
 眉間に皺を寄せて、



 「あたし、今日家の手伝いあるから帰
  るね」



 鞄を取りながら消え入りそうな声で呟
 いた。



 「じゃあ送ってくー」



 腰を上げようと小机に手を付くと、



 「いい。一人で帰る!!」



 姫ちゃんは喚きながら部屋を出て行っ
 てしまった。



 俺は姫ちゃんがたった今出て行ったド
 アを暫く見つめたまま、ハッとちーち
 ゃんに顔を向けると、ちーちゃんも俺
 と同じくドアを見つめていた。



 「私がね、ジュースとか運びに一階に
  降りてた時さ、多分姫ちゃんはあの
  写真見てたのかも…」



 ドアから視線を勉強机に移したちーち
 ゃんは、地味に飾られている写真立て
 を指さして俺に言う。



 俺はその写真立てを取ると、そこには
 ちーちゃんと俺が写っていた。



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