‐白雪姫と悪魔なアイツ‐



 それはちーちゃんが引っ越すと聞いた
 ときに、最後に写真撮ろうと言われて
 撮ったやつだった。



 その頃はもうちーちゃんが好きで、最
 後って言われたのが寂しくて俺はそっ
 ぽを向いてたんだ。



 「私たちは今も過去も、たった一つの
  幼なじみなんだよ。薫ちゃん、早く
  姫ちゃんを追いかけてあげて」



 俺はその言葉を合図に部屋を飛び出し
 た。



 最後に涙混じったちーちゃんの声が一
 瞬俺に迷いを与えたけれど、今は前の
 ちーちゃんが大好きだった俺じゃない



 確かに今もちーちゃんが好きだ。



 だけどそれは〝幼なじみ〟としてだ。



 今俺が心から守りたいと思えるのは、
 たった一人。…姫ちゃんだけなんだ。



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