銀色の月の華に太陽を
桃色の月

月への約束


僕らの出会いは10年前の夏。

「瑞稀ぃ!!ちょっとこっちおいでっ!!」

「なんだよ、ばあちゃん!!でけぇ声出すんじゃねーよっ!!」

「あたしに向かってなんて言葉使いするんじゃっ!!」

「いてッ!…何しやがっ…」

顔を上げると、そこにはとても優しそうなおばあさんと、とても綺麗な女の子がいた。

今考えてみれば、友達のいない僕のために、ばあちゃんが考えてくれた事だったんだと思う。

「ほほほ。こんにちは!瑞稀くん。そして、はじめまして。」

「…はじめまして。」

その優しそうなおばあさんの後ろの、とても綺麗な女の子に僕は目を奪われていた。

おばあさんが女の子の背中を押し、僕の前に立たせた。そして少し震えている唇を開く。

「よこやま りのですっ!よろしくね、みずきくんっ!?」

そう言って璃乃は僕に手を差し延べてくれた。

なのに僕は…

「う…うるせーぇ、ブスッッ!!」

なんて思ってもないこと言ってしまったっけかな~。(笑)

あの時はただ恥ずかしかっただけなんだ。ごめんね、璃乃。

でも、璃乃は見た目のは裏腹に、負けじと言い返してくる子で…

「はッッ!?あんた!人がせっかく話しかけてあげてんのに、何さまのつもりッッ!!」

僕らの初対面はこんな感じ。

< 1 / 38 >

この作品をシェア

pagetop