銀色の月の華に太陽を
よく見てみると、その男はギターケースを背負っていた。
そして向かった先にあったのは【軽音部】と書いてある一つの教室だった。おそらく、軽音部の部室だろう。
「「キャーッッ!!!ヒロよーっ!!」」
部室に入った途端、部室の中にいた女子が一斉に集まってきた。
「おぉ、毎日毎日ご苦労さん。つーか、自分の部活に行け。」
「ヒロより大事なものなんてないもーん」
と、言ってその女の人は“ヒロ”にキスをした。
このころの俺らには刺激が強すぎて、何が起こったのか解らず、その場で固まった。
「キャー!!!ズルいあたしもーっ!!!!」
と、次から次へと“ヒロ”は寄ってくる女にキスの大安売り。まぁまれにいう、“生粋の女タラシ”だ。
「みんな愛してるぜぇじゃ、また後でなぁ。」
そう言って、“ヒロ”は俺達の襟を掴み部室の奥の倉庫に入った。
「すまねえな、見苦しいもん見せて。ま、悪い気はしねえか。」
“ヒロ”は学ランのポケットか煙草を取り出し火をつけた。
「―――あのっ…」
「なに~ぃ?あ、チクんなよ。」
「いや、チクりませんけど…えと、“ヒロ”さん?」
「あ、名前?そんなに知りてぇのか?しょーがねぇなぁ。」
そう言って、“ヒロ”は紙とペンを取り出した。