時間屋


季節は、冬。


ただでさえ寒いのに、冷たい雨が追い討ちをかけるように、絶えず地面を打ちつける。



雨が嫌いって話を、よく聞く。


でも俺は、嫌いじゃない。


どっちかと言えば、好きな方に入る。



俺の気分が暗い時は、いつも雨が降る。


空も一緒の気持ちになってくれてる気がして、子供の頃の俺は、無邪気に喜んだ。



あの時だって、そう。



確か、霧雨だった。


俺が時間屋になろうと決心した…あの日。



ここで、疑問に思うだろう。


"時間屋"って何だ?って。



俺も最初は、時計でも売ってんのかって思った。


…でも、違うんだな。



俺は今、その"時間屋"へ向かっている。


時間屋は、古いビルの3階にあった。




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