時間屋
Time4:交渉
突然響き渡った、複数の悲鳴。
俺と志乃は一斉に口をつぐむ。
「な…何…?」
「…っ、見てくる!」
俺が椅子から立ち上がると、志乃も立ち上がった。
「待って!私もっ…」
ったく、どこまで馬鹿なんだこいつは!
「お前は狙われてんだぞ!? いいから、大人しくここにいろ!」
返事を聞く前に、俺はすぐに部屋を出た。
階段を駆け上がり、廊下に出る。
深夜だった為、不気味なほどに暗かった。
灯りと言えば、微かに月の光が差し込んでいるだけ。
俺はなるべく気配を消し、廊下を素早く移動する。
「空雅さん!」
住み込みの家政婦さんらしき人が、血相を変えて向かってきた。
俺は駆け寄り、事情を尋ねる。
「一体、何が…!?」
「…っ外で…中川財閥がっ…、お、お嬢様を…」
家政婦さんは相当パニクっていて、よく聞き取れない。
「落ち着いて下さい!中川財閥のやつらが来たんですね!?」
「は、はい」