時間屋
「あとはまあ、軽い嫌がらせとかがあったらしい。北条財閥も、相当参ってる様子だ」
「ふーん…。金持ちの争いって怖いですからねー」
今までも、金持ちの争いを担当したことが何回かあった。
ちょーっと暴れすぎて、高価なモノ壊しすぎって怒られた、嫌な思い出しかない。
「その敵さんは、ライバルの中川財閥らしい。ま、敵がわかってるから、そう時間かからないと思うぞ」
そこで俺は、眉をひそめる。
「…そこまでわかってるのに、何でSランクなんです?」
依頼内容は、あくまでも護衛だ。
相手が殺し屋でもあるまいし、そんな危険な任務じゃない。
すると華子さんは、困ったように首を傾げた。
「…私にもよくわからんのだがな。娘を狙う輩がなかなかの腕らしくて、今までの護衛には必ず重傷を負わせたらしい」
「必ず…?」
「だから、あまり弱い人間を寄越すな、と言われた」
弱い人間、ねぇ…。