双子愛 〜悲シキ運命ノ糸〜
何とか遅刻をせずに学校に着いた
教室に入ると
絵里が待ってました、と言わんばかりに駆け寄って来た。
「遅いよ咲希、待ってたんだよー」
「ごめんごめん、絵里今日早いね」
「今日の食事当番、あたしだったんだ」
絵里は近くの孤児院施設に住んでいる
訳あって小さい頃から預けてもらってるらしい
小さな子供ばかりで
そこでも絵里はお姉さん的存在で慕われている
明るくて頼りになって
前向きな絵里があたしも大好きだった。
「いつも大変だね」
「でも慣れれば結構楽しいよ?皆、妹とか弟みたいで」
「賑やかそうだよね、あたし一人っ子だからさ」
「今度さ遊びにおいでよ、案内くらいは出来るからさ!」
「うん、行くっ」
「それよりさ…あたし、聞いたんだ!」
絵里が唐突にあたしに言った。
「……何を?」
「何をって…決まってるじゃん、堀内君のこと!」
堀内君の名前を聞いて
今朝のことを思い出して、また少し憂鬱な気分になった。