双子愛 〜悲シキ運命ノ糸〜
そもそもこうなったのには理由がある。
『学祭までもう一週間しかないから、気合い入れてけよ』
『はーい!』
ここ、西陸高校の校内は
一週間後に控えた学園祭の準備に向けて、校内は騒ついていた。
『咲希は、この後職員室に来いよ』
『あっ、すぐ行きまーす』
あたしは担任に言われた通り
職員室に行くと、いきなり段ボール箱を渡された。
『重っ…!何なんですか、これ?!』
『この前の修学旅行の写真、今日の理事会で良い写真選んどいて』
『わ、分かりました…失礼しますっ』
『転んでぶちまけるなよー』
そう言って担任は職員室の扉を閉めた。
あたしは一人、
自分のカバンと渡された重い荷物を持って理事会の集まりに向かった
そして転んで、今に至る。
目の前に散乱した箱と
箱から飛び出した数枚の写真を拾い集め、もう一度箱に戻す
まるで未来を見透かしたように担任に注意されたのに、一人でもあんな転び方をすれば何だかわけもなく恥ずかしく感じ、少し切なかった。
「あれ、ケータイ…」
ポケットに入れていたはずの携帯が見当たらず、ポケットを探りながら辺りを見渡す
その時、気がついた。
「あ、あった…………ん?」
見つけたのは自分の携帯と
全く同じ機種で
全く同じ色の
全く同じ携帯が
二つ並んで廊下に転がっていることに。
「………どっち?!」