音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
Act.0
寒い2月
窓に目を向けると…… 庭が、白く化粧をしている。
「まおー、電車に間に合わなくなるよ」
「はーい……」
まだ完璧に覚めきっていない頭に体。
こたつに入りテレビを見ながらあたし用に出されている朝ご飯をゆっくり口に入れ、動かす。
あたしの朝ご飯は毎日“ごはん”と決まっている。
別に食パンが嫌いなわけではない。
日本人はやっぱりご飯でしょ?
「まおー、いつまで食べているの? 早くしなきゃ間に合わなくなるからねっっ」
ママの少し強い声が飛んできた。
「はい、はい」
何気なく…… テレビに視線を移した。
「――― !!」
ちょ、ちょ!!
いつもの占いが終わっているじゃん!!
「えっ!もう7時00分じゃん」
「だから"急ぎなさい”って言ったでしょ? …… ほら早くしなさい」
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