音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
新しい始まりのとき
改札口で菜々と別れた
いつものバス停には優ちゃんやいっくん、陽太くんが待っているので、合流し…… 今は。
「あたし、4組だ。 まおは何組?」
「うーん……」
下駄箱横の掲示板に貼り出されているクラス表を見て自分のクラスを探しているけど…… 人が多くて分からない。
「見えないよ……」
こういう時ってどうして自分の名前が“木下”なんだろうって思う。
優ちゃんのように“愛川”だったら上の方で見つけやすいのに……。
「あっ、見つけた!」
ふぅー、やっと見つけた。
「優ちゃん、卒業まで一緒だよ! よろしくね」
【4組 10番 木下 まお】
「まおと愛川は一緒だったのか?」
ガヤガヤうるさい中、背中からいっくんの声が聞こえた。
顔を後ろに向けると、いっくんとの距離の近さに少し驚いたが…… いつも通りやり過ごす。
「そうだよ、優ちゃんと一緒で4組なの。 いっくんと陽太くんはどうだったの?」
「俺と陽太も4組」
いっくんと陽太くんも4組って言うことは……。
「卒業まで一緒だね!」