音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
秘密
「はぁ!? 下がっていたの?」
「ちょっ、優ちゃん声が大きいって!」
ご飯も食べ終え、昨日の結果を優ちゃんに報告。
案の定、驚かれて……。
「昨日まで何やっていたの」
「学校来てました」
「無理していたんじゃないの?」
「…… してません」
今朝、電車に乗る前に菜々にも耳鼻科の報告をして優ちゃんと同じように驚かれて……。
「バカッまお」
と、怒られ…… 学校に来たら来たで。
「全く、本当に耳が聞こえなくなったらどうする気なのっ!」
「そんな事が無いようにするよ」
優ちゃんにも怒られ……。
あたしの回りには“大丈夫?”と言って、優しい言葉を掛けてくれる友達はいないのだろうか。
「…… 入院した方がいいんじゃない?」
優ちゃんが難しい顔をして言う。
「嫌だよー、あたし学校に来ていた方がいいもん」
「でもさ……」
優ちゃんが言いたい事は分かるよ。
優ちゃんが怒るようなことを言いながらも、心配してくれていることだって。
でもね……。
「学校に来ていたいんだ」