音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
何よ! 何よ! 何よ!
あたしをいつまでも幼い子供のような扱いはッッッ!
そりゃ…… 保育園の時はよく転んで傷を作っては泣いていたけど……。 今は転んだって泣かないんだから!
「いっくんの夕ご飯を抜きにしてやるーーー!」
「バーカッ。 夕ご飯作ってくれるのはおばさんだし。
まおに料理…… なんて、想像できねーし」
「うっさい、バカッ。 いつかあたしだって、いっくんが驚くような料理を作ってやるんだから」
「ほー、言ったな。 その時は俺が1番に食ってやるよ」
「じゃよろしく」と言って、手をヒラヒラ~と振って教室へ戻っていった。
ムカつく、ムカつく、ムカつくーーーー!
あの余裕そうな顔。 本当にムカツク。
小さい頃は「まーちゃん待ってよー」と言いながらあたしの背中を追いかけてきていた、あの"いっくん"が同一人物とは思えない。