音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
「はぁー」
教室に戻り、帰る準備を再開した。
「まーおっ、帰ろ」
「うん、待ってね。 英語の教科書入れたらね」
いっくんが来るんだから、英語を教えてもらわなきゃ。
あんなに人をバカにしたんだから英語ぐらい教えてもらおーとっ。
「準備できたー?」
「できたー! 帰ろう」
帰りは優ちゃんと一緒に帰る。 それでも、バス停までだけど……。
「明日の補習“ぜーったい”忘れないでよ?」
「忘れないよー」
優ちゃんを怒らすと怖いんだもん。 もうあんな優ちゃん見たくない。
「明日は数学? 英語?」
「数学だよ。 英語は確か来週だったと思う?」
さすが優ちゃん! 予定まで把握しているだなんて……。
あたしとは、大違い。
あっ、数学置いてきちゃった……。
予習しなくても、大丈夫だよね?