音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
それでも……ダメなんだ。


今だって4組の教室では授業をやっている。


ほとんどの席は埋まっているのに、あたしの席はポッカリ空席。


あたしがいないとか関係無く、どんどん授業は進んでいく。


今ごろ友達とか作って休み時間になったらお喋りしているのかな?


こうやって、マイナス的な考えにたどり着いてしまう。


あたしだって早く教室に戻りたい。
友達だって作りたい。



クラス替えすぐに、こんな長期間の入院だ。


よく考えたら分かることじゃん。


あたしの存在ってみんなに忘れられている。
居ない人……そう思われているはずだ。


あたしだってクラスの人の顔も名前も覚えていないのに、こんなに休んでいるあたしを覚えているわけ無いか。



あっ!
でも、名前だけは覚えてもらったかも。


『学校をずっと休んでいる木下 まお』ってね。







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