音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
制服だったから、たぶんこの病院の近くの公立高校の生徒?


中学生にしてはちょっと体格や背格好が大きいように思える。


………… 高校生?



枕元に置いてある携帯をパカッと開いた。

やっぱり12時前だ。
学校が終わるにしては早すぎる。


午前授業とか?


それにしたって早すぎる。



「……… サボりかな?」


12時前にウロウロしていればそれしか考えられないか。


ちょっと視線をずらせば、おばあちゃんと手を繋いで仲良さそうにあるく小さな女の子がいる。


つまずきそうになる度におばあちゃんに体を支えて貰っている女の子……なんだか嬉しそう。


あたしの所まで二人の会話は聞こえない。



『気をつけて歩くんだよ?』


『はーい』



なんだか、そうやって話しているように見えた。


……… そっと窓を閉め、ベットの端に座った。







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