音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
なんだか、思い出すな。
昔は上手に縛れなく、何十分も時間を使っていたのに、今となってはほんの数分で完成。
「何色のゴムがいい?」
「うーん……
今日は気分がいいから“ブルー”で」
「気分がいいから“ブルー”っておかしいでしょ?
普通は“ピンク”や“オレンジ”にしない?」
普通ならそうかも知れないけど……
「今朝の占いでアナウンサーのお姉さんが“ブルーがラッキーカラー”って言っていたんだもん」
口をツンと尖らせた。
アナウンサーのお姉さんが『ブルー』だなんて言わなかったら、あたしだって『ピンク』や『オレンジ』を選んでいたよ。
当たらないと分かっていながらも信じてしまうのが女の子ってものだ。
「はい、完成。
これで少しはやりやすいでしょ?」
「うん、ありがと」
右耳の下に一つに縛って貰った。
「これで勉強頑張るね」
「雨が降らない程度に」
――― 翌日。
『まおが珍しく勉強なんかするから今日は雨じゃない!
今日は大人しくしていなさい』
朝からそんなメールが届いたのは……
言うまでもない。
昔は上手に縛れなく、何十分も時間を使っていたのに、今となってはほんの数分で完成。
「何色のゴムがいい?」
「うーん……
今日は気分がいいから“ブルー”で」
「気分がいいから“ブルー”っておかしいでしょ?
普通は“ピンク”や“オレンジ”にしない?」
普通ならそうかも知れないけど……
「今朝の占いでアナウンサーのお姉さんが“ブルーがラッキーカラー”って言っていたんだもん」
口をツンと尖らせた。
アナウンサーのお姉さんが『ブルー』だなんて言わなかったら、あたしだって『ピンク』や『オレンジ』を選んでいたよ。
当たらないと分かっていながらも信じてしまうのが女の子ってものだ。
「はい、完成。
これで少しはやりやすいでしょ?」
「うん、ありがと」
右耳の下に一つに縛って貰った。
「これで勉強頑張るね」
「雨が降らない程度に」
――― 翌日。
『まおが珍しく勉強なんかするから今日は雨じゃない!
今日は大人しくしていなさい』
朝からそんなメールが届いたのは……
言うまでもない。