音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
仕事と学校へ行く二人を見送って、あたしは急いで歯磨きだ。


ツーンとするミントの味が口いっぱいに広がる。


次はイチゴ味でも買ってみようかな……?


「まおー!」


「はーい、今から着替える」



ヤバい、ヤバい。
時間が無いんだ。


制服に着替えるために部屋に戻る。


ピンク、水色、白……


今日は久しぶりの登校なんだから……


「ピンクッ!」


シワ一つ無いシャツに久しぶりに袖を通した。


シャツを着ただけなのに……
身が引き締まる。


上だけ着替えてもダメだ。
グルーのスカートを履いて、ハイソックスに靴下止めも忘れずに塗って完成。


バタバタ階段を掛け降りてママの元を目指す。



「ママ、お弁当ちょうだい」


「はい、出来ているよ。
今日は車で駅まで連れていってあげるから早く車に行くよ」


「はーい」







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