音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
あたしなんかホットドッグ1つでお腹いっぱいになるよ。


フライドポテトだってまだ数本しか食べていないけど、ちょっとお腹に貯まっている感じ。


朝ごはん食べたからかな?



「残りはいっくんにあげるよ」


「まおは食わないのか?」


「いっくんが映画の最中にお腹鳴ったらかわいそうだからいらない。
それにお腹いっぱいだもん」


「マジで、ラッキー」


そんな…… フライドポテトで喜ばないでよ。


なんだか小学生みたい。


相当お腹減っていたんだね。



「まお、一本やる。
口開けて」


口開けって……
ここで? 公衆の前だよ?


『あーん』なんて恥ずかしいこと出来ないよ。


そんな事、今まであたしたちやったこと無かったじゃん。



「ん、まおどうした?」


『どうした?』 じゃなーい!


普段あたしをバカバカ言うけど、今はいっくんの方がバカだ!



「バーカ。
何、本気にしてんだよ」







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