音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
「待って、今ね“カルボナーラ”と“ハンバーグ”で迷っているの」


どっちがいいかな。
デミグラスハンバーグも捨てがたいし……
カルボナーラもな……


「まおは“カルボナーラ”で決まり。
セットで頼んでいいか?
サラダとフリードリンク付きで1000円だし」


「いいよー」


1000円か。
でもここにデザートをつけるから結局1000円は越えちゃう。


それはそれでいいか。



「飲み物は何がいい?」


「カルピスソーダ!」


「じゃ、決まりだな」


ボタンを押してウエイトレスさんに注文するまで全部、いっくんにやってもらってしまった。


あたしはただ座っているだけ……



「ねえ、誰が“ハンバーグ”と“タラコスパゲティー”食べるの?」


あたしたち、どう考えたって二人だよ!
なのに、メイン料理は3つって、どう考えたっておかしいでしょ。


注文を聞きに来たウエイトレスさんなんか『ハンバーグと…… タラコスパゲティーですか』って、なんだか不思議そうな顔していたよ。







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