音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
「今日はゆっくり休め」
「うん、ありがとう」
ケーキ屋さんに行って、駅ビルを少し二人でウィンドウ・ショッピングして帰ってきた。
もちろん帰りもいっくんの後ろ。
「あのね、これ……」
「ん、何だ」
カバンの中から紙袋を差し出した。
今日はいっくんにおごって貰ってばかりだったから、あたしからいっくんにささやかなお礼。
「駅ビルのパンか」
「うん、美味しいって有名だから……」
もちもちしていて美味しいんだよね。
実はいっくんにこっそり内緒で買っていたんだ。
「…… どうして“食パン”なんだ?」
「本当は菓子パンとかドーナッツにしようと思ったんだけど。
味の好みがよく、分からなくて……
食パンだったらいっくんのパパとママでも食べられるかな…… って」
いっくんの朝は『トースト』ってイメージ。
だから食パンなら朝でも活躍してくれそうだ。
「サンキュッ。
明日から食うな」
「うん、ありがとう」
「じゃっ」
「バイバイ」
小さくなるいっくんの広い背中をいつまでも見つめ続けた。
「うん、ありがとう」
ケーキ屋さんに行って、駅ビルを少し二人でウィンドウ・ショッピングして帰ってきた。
もちろん帰りもいっくんの後ろ。
「あのね、これ……」
「ん、何だ」
カバンの中から紙袋を差し出した。
今日はいっくんにおごって貰ってばかりだったから、あたしからいっくんにささやかなお礼。
「駅ビルのパンか」
「うん、美味しいって有名だから……」
もちもちしていて美味しいんだよね。
実はいっくんにこっそり内緒で買っていたんだ。
「…… どうして“食パン”なんだ?」
「本当は菓子パンとかドーナッツにしようと思ったんだけど。
味の好みがよく、分からなくて……
食パンだったらいっくんのパパとママでも食べられるかな…… って」
いっくんの朝は『トースト』ってイメージ。
だから食パンなら朝でも活躍してくれそうだ。
「サンキュッ。
明日から食うな」
「うん、ありがとう」
「じゃっ」
「バイバイ」
小さくなるいっくんの広い背中をいつまでも見つめ続けた。