音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
「だから自分から消えるわけ?」


そうだよ。
あたしがいっくんたちの前からいなくなったらいっくんたちも悪く言われる様な事は無くなるはず。


いっくんや優ちゃん達が。


――― 大好き、だから。



「まおはやっぱり“バカ”だ。
信じられねーくらいのバカだ」


バカなのはあたしだって分かっている。


あたしが他の場所に行っても、陰口は言われる。
今、ここから逃げたって変わらない。


それだったら、今のクラスの友達と卒業したい。
学校行事にも参加したい。


まだまだやりたい事は沢山ある。


でも、一番は。


「……… あの学校を卒業、したいよ」


一気に熱い物が込み上げてきた。
この気持ちは、どうやっても抑えられない……


ブランコを強く握りしめた。


「みんなと、一緒に毎日いたい。
友達と遊びたい」


「……… やっと言ったな」







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