音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
ろうそくに火を付けた。


あたしが来るまでヒマだったのか…… 花火が一本ずつバラバラになっている。


二人でやって15分くらいかな?



「まおちゃん、見てみて~。
スゴいでしょー」


「スゴい、スゴい」


両手に持って遊んだら危ないのに。


でも、理央ちゃんが楽しそうだからいっか。


火花が緑や赤に変わるので、真っ暗な世界が色とりどりに変化する。


たまに吹く、生暖かい風によって。
白い煙がモクモクと黒い空を覆う。



「線香花火は最後にしていい?」


「いいよー」


花火の最後って、やっぱり線香花火だよね。
パチパチ弾ける小さな花火が可愛いんだよ。



「あー、理央ちゃんそれあたしがやろうと思ったのにっ!」


「へへーんだっ!
早い者勝ちだよーっ!」


ムーッ。
最後の一本だったのに。


お姉ちゃんにわけてくれたっていいじゃん!






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