音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
「ねえ、まおちゃん。 聞いていい?」


「何をー」


二人で小さくなって、線香花火の真っ最中。


パチパチっと弾ける小さな火花があたしたちの元を照してくれる。



「まおちゃんはさー、どうして“彼氏”を作らないの」


彼氏?
彼氏って…… あの彼氏だよね。
手を繋いだり、デートしたりするのだよね。


急に理央ちゃんが『彼氏』だなんて言い出すから…… 何かあったのかな?



「誰かに告白でもされたの」


「違う、だだ気になっただけ」


本当にそうかな?
理央ちゃんは可愛いからなー。
もしかして誰かに告白でもされて、その答えをどうするのか迷っているのかな?



「告白なんてされていないんだから、勝手に話を作らないで!」


そこまで否定しなくたって。
まあ、今は恥ずかしいのかな?


えーっと、あたしが彼氏を作らない理由…… だったけ?








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