音のない世界 ～もう戻らないこの瞬間～

いいなー。
あたしもやりたかったな。


でも、今年の夏休みは家でのんびり過ごして楽しかったらあたしはよかったかな。



「あっ！ そうだ」


ここぞとばかりに聞いてみよっ！


「リカちゃんは将来どうするの？」


「あたし？」


そっ、リカちゃんだよ。
リカちゃんとは2年生になってから仲良くなったからまだ全然わからない。


ただ分かっている事は誕生日とか基本的な事ばかり。
だから、もっとリカちゃんの事が知りたいな。


「あたしはねー、将来は“書道の先生”になりたいの」


「書道の先生？」


リカちゃんは書道部で何度も入賞もしているけど…… どうして書道の先生？


リカちゃんはものスゴーク頭が良いから教科の先生にでもなれそうなのに。


「昔ね、言われたの。
“リカは字が上手いなー。
将来は書道家にでもなれば”ってね。

だから、書道家よりあたしには“書道の先生”の方が似合っているような気がしたから…… かな」