音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
進行中
「バッカじゃねーの?」
「んなっ!! バカって何よ、バカって」
「バカ以外の何者でもねーよ。
ほら送っていってやるから、さっさと後ろ乗れ」
テストが無事に終わり、何事も無く過ぎていく毎日。
暖かい日もあれば寒くて凍えるような日が続く…… そんな今日。
「ったく、高校生になっても転ぶなよ……」
いっくんが呆れたような声で、自転車をこいでいく。
「だってぇー」
「ごちゃごちゃ言うな、アホッ!」
今朝の登校中、学校まで残り数メートル。
優ちゃんと春休みの予定で盛り上がっていたら……。
―――ズルッ!!
見事に、転んだ。
「まおっ!」
隣を歩いていた優ちゃんの、驚いた声が前を歩いていた二人の足を止めた。
「???」
雪が溶け始める中、ここ数日の連日の寒さ続きで地面の一部が凍っていた。 それに気づかず、どてーん!!
転んでしまったのだ。
優ちゃんの手を借りて、なんとか学校に着いた。 その足で、急いで保健室へ向かい、消毒してもらった。