音のない世界 ～もう戻らないこの瞬間～

どうしてかな？ 人のモノって、どーしても美味しそうに見えてしまう。


「うん、食べる」


「言うと思った」



鼻で笑い…… 食べかけのパンを差し出してきた。


いっくんの食べかけみたいだけど…… まあ、いっか。


パクッとかじりついた。



「…… おいしっ」


「それはよかった」


もしてして…… 出来たて？ ちょっと温かい。



「つーか、まおは何でここにいるんだ？ お前、今日一日俺んとこをずっと避けていただろ？」


「――― うぅっ」


そ、そうだけど……
会いに来ちゃダメだった？


「で、なんだよ」


「あーっと……」


聞きたい事って色々あるんだよね。


ちょっとありすぎて困るんだけど。



「ちょっと待ってね、今聞きたい事をまとめるから」


「おー、昼休みの内に終わるようにしろよ？
あと…… 20分くらいしかねーから」