音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
「どーかな? いっくんがもっとあたしを好きになると思うよ」


「イーヤ、まおが俺を好きになるな。
“――― いっくんが好きっ”
そう言ってくるよ」


「無いよーだ。
それは…… いっくんじゃない?」



あたしといっくんは、この空気が合っているのかも。

気を使わずに、何でも言い合えるこの関係。



「まおっ」


「ん、何?」


「これからも、気を使わずにな」


「うん、分かっている。 いっくんになんて気を使わないよ」


いっくんはあたしが離れそうで怖い?


でもね……
『離れろっ!』なんて言われたってあたし、離れる事なんて出来ないよ。



「じゃあ、あたし先行くね」


「おう、行け行け! 俺はもう少ししたら行くわ」


「授業、遅れないようにね」


「はいはい」


いつか、あたしのしっかりした気持ちがいっくんに届くといいな……






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