音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
――― へっ?

まさかいっくんから『くれるのか?』なんて言ってくれるなんて思わなかった。


「で、どーなんだよ」


「そうです! そーです! いっくんにあげます」


なんか…… ムリヤリ言わされた感じ?

……… でも、いっか。 言えたんだし。


あのままだったら絶対に言えなかったもんね。



「はい、これ」


「ん、サンキュッ。 お返しに期待しとけよ。

――― じゃ、行くわ」


「ん、バイバイ」



いっくんは渡すだけ渡してバイトに行った。


あたしがあげたプレゼント。 食べてくれるかな?


あたしのキモチがたくさん詰まっている。
――― こんぺいとう。


99コの白いこんぺいとう。
1コのピンクのこんぺいとう。


99%のまだ固まっていないキモチ。
1%のいっくんへの好き。


どうか…… いっくんに、とどきますように。


――― 99+1=大好き。









fin.


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