音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
「同じ事、書かれてる……」
――― ドキッ ドキッ ドキッ。
胸がざわざわ騒ぎだした。
背中はひんやり冷たくなり、胸の騒ぎはより大きくなった。
「もう、ヤだっ」
こんなサイト、見たくない。
マウスをいじって右上のバツ印をクリックしてインターネットを閉じた。
何? あのサイト。
あたしに当てはまる事ばっかりじゃん。
こんなこと…… あるはずが無い。
あっては、いけないんだ―――。
確かにあたしは体が弱い。
それは自分が1番よく分かっている。
小さい頃はよく喘息で入退院を繰り返していた。
だからって、耳が聞こえないだなんて……。
――― あるわけない。
でも……。
さっきまで見ていたサイトの内容が頭を過る。
“耳の詰まり”
“めまい”
“耳鳴り”
これって、あたしが“突発性難聴”ってことなの?
書かれていた内容があまりにも自分に当てはまるものだから――― 最悪のケースを想像してしまう。