kiss me please─甘い口付けを─

「会えないのは、ヒック…
辛いよ。

だけど…、隼人と別れるのはもっと辛いの…っ」

そう言った瞬間、隼人に手を引かれて
あたしは隼人の腕の中に収まる。


「好き、好きだから」


「うん、俺も好き」

抱き締める力はどんどん強くなっていく。


「忘れないで」


「忘れないよ」


「…頑張ってね」


「うん」


「体に気をつけてね」


「うん」


「無理しないでね」


「うん」


「それから…─
…っ」

突然体が引き離されて、口に人差し指を立てられる。


「もう黙って?」


「…っ、」


そのまま、隼人の顔は近づく。


あたしはそれに合わせてゆっくりと目を閉じた。



< 9 / 12 >

この作品をシェア

pagetop