無防備な君に恋をする



「……人の睡眠妨害しといて、更には怪我の処置までしてやってんのに、文句ばっか言ってんじゃねぇよ!」

「うぅ……怒んないで下さいよぉ~」


涙を何度も手で拭いながら、嗚咽を漏らすコイツの名前は、伊織。

入学当初から、俺にまとわりついてくるヤツだ。

対して、俺はコイツより2つ年上の3年。

保健室でよく寝ているところを発見され、時たま睡眠を妨害してくる大変迷惑な輩だ。

そして今日も、グラウンドで転けたとか言って、保健室に飛び込んでくるや否や、


『先パ~イ!!怪我しちゃいましたよぉ~!!助けて下さい~』


と、俺が寝ている一番奥のベッドまで押しかけてきた。

『自分でしろよ』というと、『血が怖くてできません~』と泣きつかれた。

ホント、迷惑なヤツだ。

いつまでも居座られるとコッチが迷惑なので、仕方なく処置を施してやっていれば、


「あ~!!先パイ、そこ痛いです!!消毒液なんか付けちゃダメですってばぁ!!」


……コレだ。




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