無防備な君に恋をする
「……何で居んだよ」
「い、居ちゃいけませんかぁ!?」
もの凄くショックを受けた表情を浮かべる伊織。
感情表現が豊かで何よりだ。
羨ましいっつーか、なんつーか。
俺は極力伊織の方を見ないで、口を開く。
「風邪か?」
「ち、違います……知恵熱です……」
おいおい。
「何をそんなに考えるんだよ」
軽口を叩いたつもりだったが、伊織は真面目に答えた。
「……昨日の放課後、波留先パイは、どうしてキスしたのかなぁって、考えてました……」
それで、知恵熱ってか。
あーあ。ことごとく笑えねぇよ。
それ、俺の方が知りたいコトなんだけど。
最近、ちょっとおかしいんだよ。
いや、ちょっとどころの話しじゃない。
何が、俺を狂わせるのか。
……わかんねぇよ。
「……ホント、わかんねぇ」
「……先パイ?」
どういう意味ですかと聞きたそうな伊織の声。