無防備な君に恋をする
狼まであと何秒?
あれから数日、俺は保健室には行っていない。
無論、伊織にも会っていない。
普通に授業を受けて、普通に帰るだけ。
たまにクラスのヤツに、
『お前最近、何か変じゃね?』
とか言われるけど、『別に』で終わらせる。
何が変なのか、俺は普通に学校生活送ってるだけだ。
これが普通。ちょっと前までの普通。
……伊織に会うまでの普通。
ダメだ。なんか、空っぽなんだ。
『波留先パーイ!!何やってるんですかぁ?』
『先パイ、ヒドイですよぉ~』
表情がコロコロ変わって、泣き虫で、そのくせ笑顔は一際輝いて見える。
……アイツが居ないと、俺の普通は、普通じゃないんだ。
伊織がいつも傍にいたことが、俺にとって、当たり前になってたんだ。
ココまで、自分のバカさを恨むなんて、思わなかった。
不器用にもほどがあるってんだ。
……伊織。