無防備な君に恋をする
「だいたい、転けて膝擦り剥いただけで、ンな泣いてんじゃねぇよ」
「先パイは、冷血人間さんですかぁ!?」
「……泣かせて欲しいか」
「い、イヤですよぉ!!睡眠妨害したのは謝りますからぁ~」
言って、また泣きそうな伊織に、俺は小さくため息を吐く。
ハッキリ言って、コイツの潤んだ瞳は、直視できない。
すぐ泣いて、でもすぐに笑顔になって。
コロコロ表情の変わる伊織は、俺にとって苦手なタイプだ。
「……でも、波留先パイに手当てして貰えて嬉しいです!ありがとうございました!」
……ホラ。
この満面の笑みが、ヤバイって。
俺はフイッと顔を背けると、スタスタと指定ベッドへと戻る。