無防備な君に恋をする
モチロン、こんな話し嘘に決まってる。
しかし、これくらい言わないと、コイツはココに居座り続けると思う。
「わ、わわわたし、か、帰ります!!先パイ、さようならぁ~!!」
鞄を手に取り、逃げるように保健室を出て行った伊織。
嵐が去ったかのように、シンと静まり返る保健室。
俺はベッドに腰掛け、窓の外を見やる。
丁度、走って出て来た伊織が、校庭を横切っていくところだった。
そして帰り際の誰かにぶつかり、尻餅をつく。
「あっ」
思わず小さく声を上げた俺は、自分で焦る。
今、一瞬、助けに行かなければと思ってしまったのは、何故だろうか?