妄想科学研究所【短編】
「スーパーに入った途端コケそうになったわ」

気がつけば華の様子が変だ。

少しうつむいているだけなのに、何故か目の辺りが陰になっていて表情が読めない。

「それはどうしてですか?」

びびって思わず自分の嫁に対して敬語になるドクター。

「玄関マットがローラーに噛んだのよ。ローラー逆転できないから取るのにスッゴく苦労したわ」

「それはまだ試作機だからね。次のヤツからは改善する予定さ。
逆転機能と、ローラーとカバーの間にブラシを着ける。これで異物は入らないし入ってもすぐ取れる」

これで華の機嫌が治ると思って笑顔を向けるドクター。しかし華はいっそう沈み込む。

「それだけじゃ全然足らない…」


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