妄想科学研究所【短編】
デパートから研究所までの道程上、国道を使う距離は、たった1㎞程しかない。

時速60㎞で走った場合たった1分だ。

そうタカをくくっていた華だったが、その1分は今までで最も長い1分になった。

華は普段自分で車を運転しないので、あまり意識してなかったが、この道はこの辺りの交通の大動脈で乗用車と大型輸送トラックの比率は同じくらいだ。

危ないのと怖いから、スクーターすらほとんど走っていない道に、ほぼむき出しの状態で挑むと言う自覚が華には全く無かった。


細い市道から信号の無い交差点をまがり、片側二車線で中央分離帯ありの国道に入る。

恐怖に塗りつぶされた悪夢の1分が始まった。

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