妄想科学研究所【短編】
「ああ、華さんおはようございます。今何時で、僕は何時間くらい寝てたんですか?」

寝ぼけ眼でのんびりたずねるヒロシに、華は過剰に反応した。

両手で持っていたコーヒーカップとポットの載ったお盆を、部屋へ入ってすぐにあるチェストボードに急いで置き、空いた両手で口元を隠す。

目は見開き、少し潤んでいるようだ。

何気ない返事が返ってくると思っていたヒロシはギョッとした。

そのおかげで、完全に目が覚めた。

「良かった…やっと起きてくれた…」

華は、それだけ言うとヒロシの方へ駆け出した。

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