妄想科学研究所【短編】
モビルブーツ
次の日、会議室で華抜きの会議が開かれた。

「え~これより次は何を造ろうかな会議を始めます」

「はい、ドクター」

「はい、ヒロシ君意見ですか?どうぞ」

観客がいる訳でもないのに、二人して予定調和な会話をしている。

「次は僕、モビルブーツ『以外』の物が造りたいです」

ドクターは辺りを素早く見回し、華がいないのを確認してから頷きながら答えた。

「気持ちはよ~く分かるよ。しかしそんな事をしたら俺は華に離婚されてしまいかねん」

チラリと横目でヒロシを見て呟くように続けた。

「間違いなく君はそんなモンじゃ済まないぞ」

ドクターの脳裏には返り血を浴びた華が、鬼の形相で天に向かって吼えている映像が浮かんだ。
< 46 / 85 >

この作品をシェア

pagetop