妄想科学研究所【短編】
「それが…全然わからないんだ。ほんの1分前ぐらいに目が覚めたらここにいた」

それだけ聞いてヒロシは全てわかった。

「ああ華さんが会議室に『運んだ』って言ってましたから、入り口まで運んで来てドアの所から放り投げたんですね。それからスグに僕を取りに戻ったと」

説明を受けてドクターは驚いた。よく見るとその目にはうっすら涙が浮かんでいる。

そんなに驚く事なのか?とヒロシは思ったがすぐ違うと分かった。あの涙はドアで頭を強打した時のヤツだ。

(フッ男の涙は見ないフリをするのが礼儀ってモンさ…)

自分のせいの事だったのでヒロシは忘れるコトにした。

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