妄想科学研究所【短編】
ドクターは疑問がハッキリ表情に出ているヒロシに苦笑し、パンをちぎりながらタネをあかした。

「実はローラーダッシュを造るのは俺も長年考えていたんだ」

そして指で自分のこめかみをつつきながら言った。

「だからココに設計図の大部分の草案はあったんだ」

ヒロシの表情から疑問が消え、代わりに尊敬の色が浮かんだ。
しかし華はまだ疑問の残った顔だ。

「なら、なんでもっと早く言わなかったの?手をつけるなら早い方が良かったんじゃないの?」

言われたドクターは何とも複雑な表情になって応えた。

「それが自分でも良く分からないんだ。心の奥で何かが待ったをかけるんだよ。

でもまあ今回ヒロシ君から提案されていい機会だと思ってね。やってみる気になったんだ」

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