妄想科学研究所【短編】

完成

翌日、早速制作に取り掛かる二人。

この地下研究所は、どっかの世界征服を企む悪の秘密基地よりも設備が整っている。

朝から作業を開始して、夕方には完成してしまった。

ローラーダッシュ試作壱号機の外観は『膝下まであるスキー用のハードブーツ』に良く似ていた。

ただし、ふくらはぎの裏にバッテリーがあるので、縦幅が足の三倍ほどある。

「何かメチャクチャ早く出来ちゃいましたね」

「そうだね。まあ、アリモノを組み合わせただけだから。プラモデルみたいなもんだ」

ヒロシは完成の速さを驚いているが、ドクターはさも当然って顔だ。

いぶかしむヒロシにドクターは少し照れくさそうに白状した。

「だからね、今まで我々がしてきた研究開発のいくつかは、いつかローラーダッシュを造る為の布石だったのさ」

「設計図を考えてただけじゃなかったんですか?」

「アイデア浮かんだら造りたくなるじゃない。
例えばコレ…」


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