花火
蒼井は立ち止まってあたしを振り返える。


「お前さ、そんなに森町の事、好きなら自分の気持ち伝えてみればいいじゃん」


えっ…。


「考えてもみなかった」


「佐渡と付き合ってたって言ってみなきゃわからないよ。人の気持ちなんて」



うん…意外なこと言われた気がした。



「でさ…。俺も言ってみる。お前に」


そう言うと蒼井はあたしを人混みから引っ張り出して横道に逸れた。
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