リーフのつばさにラヴレター
ふと、思い出した。


『いつの日か、倉本くんに“先生”と呼ばれることで、保っているんだよ、ありがとう』





今時、手紙は時代外れだろう。
でも何故か書いてしまった。何故か渡してしまった。書かずにはいられず、でも口にしては言えず、どうにかあなたに少しだけ振り向いて欲しくて。

男が泣くなんてありえねぇと思った。マジでありえねぇと。




先生が乗ったタクシーが走り去ったあと、残った生徒や先生方そこにいるすべての人が送り会に浸りながら、去ったいったが俺だけがそこに残っていた。


だいぶ、居たんだろう。


俺は少しすっきりしながら泣いていた。


あの恥ずかしい手紙を今頃読んでいるんじゃないかと、想いながら……。
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