リーフのつばさにラヴレター
また違う先生の顔が見えた。


中性的にそのまま飛んでどこかに行きそうな走りだった。


悔しいくらいかっこよかったし、抱き締めたらサッと通り抜けて存在しなくなりそうなくらいだった。


そのくらいきれいだった。

周りはまだ先生の走りに持ちきりだ。

俺は、なんかそれてほしくて


「あっ!津田先生意外にはぇーじゃん!」



と、隣にいる橋田に結構デカイ声で言う。周りの生徒達はたちまち、またグラウンドに目を顔を話を戻す。


「あー!津田先生頑張れー!!」



と、また前にいる誰かが俺の言葉につられた。



「お!津田っち抜かせー!」



と、隣にいる橋田も商品がかかっているせいか熱がこもる。


ぱっと先生に視線を戻す。

息をきらして肩で呼吸をしている。
違うクラスの先生に肩を叩かれながら多分、『速いですねー』とでも言われているんだろう。
苦笑しながらも、お礼でも言っているんだろうか。


向こうの方からワァーという歓声が一気に押し寄せてきた。

三年の担任はアンカーだから一周半しなくてはならないから、一周したところで大体疲れるだろう。中年だしね───……。



気付いたら先生がこっちをみていた。

ニヤッとニヒルな笑いをして俺からゴールに目を移した。



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