パニック症候群

「こちらは私と一緒に杏里様の
お世話をいたします、片平魁人様で
ございます。」

ふ~ん…とつぶやいた後
杏里ってこはスタスタ歩いて
行ってしまった。

「あ…あの!俺って面接受かったんですか?」

執事の本山さんは〝私と一緒に〟と言っていた。

「もちろんですよ。ところで片平様、
ご家族にはご連絡済みでいらっしゃいますよね?」

「あ、魁人か片平って呼んでください。
様付けはちょっと…」

「わかりました、魁人さん。」

「で、家族に連絡って…?」

「住み込みで働いていただくのに
やけに荷物が少なくていらっしゃるので。」

す…住み込み!?俺聞いてねえよ!!
確かに俺制服に学生かばんだけだし!
荷物少なすぎんだろ…

「あ、後で送ってもらうつもり
なんです。」

知りませんでしたなんてかっこ悪くて
言えず咄嗟に言った嘘を、
見破ったかのようにクスッと笑って
「手配いたします」と本山さんは言った。



< 6 / 16 >

この作品をシェア

pagetop