パニック症候群
「こちらは私と一緒に杏里様の
お世話をいたします、片平魁人様で
ございます。」
ふ~ん…とつぶやいた後
杏里ってこはスタスタ歩いて
行ってしまった。
「あ…あの!俺って面接受かったんですか?」
執事の本山さんは〝私と一緒に〟と言っていた。
「もちろんですよ。ところで片平様、
ご家族にはご連絡済みでいらっしゃいますよね?」
「あ、魁人か片平って呼んでください。
様付けはちょっと…」
「わかりました、魁人さん。」
「で、家族に連絡って…?」
「住み込みで働いていただくのに
やけに荷物が少なくていらっしゃるので。」
す…住み込み!?俺聞いてねえよ!!
確かに俺制服に学生かばんだけだし!
荷物少なすぎんだろ…
「あ、後で送ってもらうつもり
なんです。」
知りませんでしたなんてかっこ悪くて
言えず咄嗟に言った嘘を、
見破ったかのようにクスッと笑って
「手配いたします」と本山さんは言った。