パニック症候群
出会い:杏里side
「ただいま。」
ギイっと音がして門が開く。
「おかえりなさいませ。
杏里お嬢様。」
一体何人いるのだろうか。
数えるのもうっとおしいくらいの
数のメイドが一斉に頭を下げる。
ふう…と肩からかばんを下ろすと
すかさずメイドの一人が手に取る。
それを確認し、目の前の螺旋状の
階段を上り、自分の部屋に行こうとした時
再び下の扉が開く。
お父様だろうか。
お父様なら出迎えなければと思い下を覗く。
そこに居たのはお父様でなく本山だった。
それともう一人、誰だろう。
男の人なのはわかったが見覚えがない。
「杏里様かえってらっしゃったんですね。」
本山はあたしに気がついたのか
声をかけてきた。
「うん、本山、誰そいつ。」
あたしの問いに本山は
新しく入った執事だと答えた。