゚+.*優し過ぎる君に幸せを.*゚+.




「由岐?」

「え?」

「どうしたの?」



訊くときに絶対に少し瞳が大きくなる幸輔。
癖なんだろうな…。
そんな小さな癖を知っているあたしは、かなり幸輔のことが好きなんだって思った。



「何でも無いよ」

幸輔に不審に思われたくないから、あたしは精一杯作った笑顔を見せた。









「あっ家着いたね。」


幸輔は西日に照らされて本当に綺麗。
サラサラで少し茶色い幸輔の髪が、いつもより綺麗に見えた。
優しい目が、いつもより優しく見えた。

だから離れたくないの。


幸輔は本当に優しいから。



“優しそう”じゃないの。

“優しい”の―…。




顔に皺を作って笑う幸輔。

「どうしたの?」

「由岐が俺のこと見てたからなんだか恥かしくなったから笑ってた」

「何それっ」

「由岐が俺のこと見るから悪いの」


って言って少し頬を膨らませて、それから顔中を皺くちゃにして笑う幸輔。




「…………………じゃぁね」

「うん!!」

何だか声が震えた。
泣き出しそうで、そんな姿見られたら幸輔は訊いてくるから、だからあたしは玄関に駆け込んだ。




< 111 / 203 >

この作品をシェア

pagetop