戦争の街
運命
Rope!(ロープ)
そんな掛け声と共に、ヘリコプターの左右のスライドドアからロープが地上に下ろされた。
続いて、Go!(行け)
次々にロープを滑り降りる隊員たち。武装した彼らは、戦地へと舞い降りる。
別のヘリコプターでも降下が開始され、終わらない作戦が開始されたとやはり実感する。
基地からは7機のヘリコプターが出撃したが、1機はここに到達する前に撃ち落とされた。
僕はその様子をずっと眺めていた。
コクピットをまともに対空砲で撃たれていたため、おそらくはパイロット即死。乗っていた新人兵士もその後の墜落、爆発により全滅だろう。
僕はふっと少しだけ目をつむり、死んだ彼らの冥福を祈った。
そしてゆっくりと目をあけると、目の前の隊員がちょうど降下するところだった。
僕はそいつが降りて十分な間隔があいたことを確認し、ロープに抱きつき、降下を始めた。
頭から吹き付けるヘリコプターのメインローターから吹く風に耐えながら、僕はだんだんと近づく地上を見た。
H-49S
ここはそう呼ばれている。Hell(地獄)、Suicide(自殺)の頭文字の中心に異国の縁起が悪い数字である4(死)9(苦)を挟んだ最悪のコードネームを持ったこの地に、僕は、今降りた。